ETV特集「人知れず表現し続ける者たち」シリーズは、植松だかチョロ松だかの優生思想に対する見事な反論、反証となっている。 いや、ちょっと違うな。 チョロ松の思想を是とした時にすら、さて、チョロ松は、おのれの優位誇れるほどの存在だろうか? 「俺のほうが偉いから」と、殺した者に言えるほどのもんだろうか? アレをひとつの歌だとするなら、チョロ松の口ずさんだ歌だとするなら、この番組はひとつのアンサーソングになっている。 ひとつの企画展を夢想する。底意地の悪い企画展である。 スズキマリエやヒラトモの作品に並んで、チョロ松にもコーナーを与えるのである。絵でも彫像でもヴィデオ作品でもなんでも良い。 めくるめく作品群の中にあって、チョロ松の差し出したものはひとにひとつでも嘆声を漏らさせるであろうか。 そういう底意地の悪いしつらえを、あえて設けてみたくなるのである。チョロ松君に対する、死刑よりも残忍な報復として。 ほんとうに無価値なのは、果たしてどっち? と。 生まれてこなければよかったのは、果たしてどっち? と。