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 「桐島、部活やめるってよ」。BSプレミアムの録画160329をいま頃観た。 森田公一の「青春時代」、の映画化と言える。ヒリヒリとする、二度と戻りたくない時代。 早川義夫の「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」の映画化でもある。 もちろん映画部の前田くんたちを全力応援で観た。前田くん、君たちだけが正しい。 「戦おう。ここが俺達の世界だ。俺たちはこの世界で生きていかなければならないのだ」 映画という虚構に逃げを打った彼らが、それでもこれを言わなければならない。スクールカーストの勝者たちに嗤われ怒鳴られ踏みにじられながら、それでも彼らは散らばった機材を拾い再び撮影に戻る。ああ、夕日が沈んで行く。マジックタイムが終わる。 現実と闘わなければ、この光をフィルムに定着させることすらできないのだ。 だから最も能く闘った者は前田であり、その威厳の前に菊池は跪拝せざるを得ない。ひとの8ミリを無造作に奪い取り「どうですか? 将来は映画監督ですか? 女優と結婚ですか?」とニヤニヤ小馬鹿にする菊池は、ファインダーの中の「格下」が真の勇者、勝者、主人公であることに気づく。気付かされる。「いいよ。俺は」。からっぽの惨めな自分に気づき涙があふれる。やっぱかっこいいね、などと言われれば、よけいに。 桐島の存在にまったく無関心な人物が三人いる。前田。吹部の部長。野球部キャプテン。いちばん尊いのは全力の努力。努力を傾けるに値する何物かを見つけることができた者。照明の下練習を続ける野球部を菊池が見下ろすところで映画は終わる。