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6月, 2012の投稿を表示しています

佐野眞一 『別海から来た女』

どう考えたって木嶋佳苗が殺人犯であることは間違いないのに、肝心の物証がない。状況証拠は完璧に揃っているのに。 毒婦木嶋佳苗は獲物から金員をせしめると途端にガードが甘くなる。証拠隠滅に格別の努力が払われない。後始末がずさんになる。にもかかわらず3件の殺人事件で物証が挙がらなかったのは警察がいずれも事件性を疑わず初動を誤ってしまったためである。普通に保全できたはずの殺人の証拠がことごとく散逸してしまった。残念でならない。 彼女に似た女を知っている。長い間その内面を推し量りかねていた。自分にとってブラックボックスであった。本書を読んでいささか得心がいった。わかるはずのないブラックボックスであるということが「わかった」のである。 佐野眞一氏にだってわからないのだ。どうして凡庸な俺に毒婦の行動原理などわかるものか。 人間性などはなからないのである。そういうタイプの人間がいる。背理であるがそうとしか言いようがない。その現実、現物が本書に活写されている。

新清士くんがまたぞろ

前稿が誤解されたようなので、という言い訳を付してまたぞろ新清士くんがガンダムをダシにした日本人論を書いている。 http://agora-web.jp/archives/1466156.html 甘えというのは一概に悪いことではない。そういうつもりで言ったのではない。みんな土居健郎の『「甘え」の構造』も知らないんだなあ。これだから一般教養にすらこと欠くアニメオタクたちはいやになっちゃうなあ。そう言いたいようである。 前稿がよほど各方面から嘲笑されたのだろう。 "日本人は、アニメばかり観ていて、だから、バカばかり育つんだ。 ウソです。一度書いてみたかっただけ。" 冒頭の挑発的な文言もこれを、酷評を受けた彼の悔しさと復讐感情を裏書きしている。 ところが新稿で新くんは、アメリカでは甘えなんか通じないんだよ、とまたぞろのたまっている。文脈からすれば今回もまた「日本人は国際標準では生きられないよ」と言っているのだから前稿の論調と特に異なるところはない。 しかし「アメリカじゃあねえ」の部分が「アメリカの友人の話によると」という伝聞情報であるのはどういうことなのか。これだけ島国根性、大海を知らぬ井の中の蛙をバカにしておいてまさか、新清士くんご本人は海外渡航経験を持たないのであろうか? それじゃあまるで開化開化と浮かれ騒ぐ欧化主義者の一庶民、敗戦直後の民主主義者じゃないか。 "「相手の気持ちを察する」というのは、「アメリカ人には一切できないので注意がいるよ」"。こんなことを"アメリカ在住の友人"から吹きこまれて「なるほどそうか」と納得するオツムもどうかと思うよ。俺たちがアメリカの小説や映画を読んで、観て、生活習慣の違いはあるにせよ感情の動きに共感できる事実はいったいどうしてくれるんだ。 オバマ大統領は電車で大股開きでふんぞり返り? ありえねえよ。日本人イコール繊細な思いやり民族、欧米人イコール貪欲な権利主張者なんていう馬鹿みたいな民族スキームをいったいどうやってこのひとは形成してしまったのか。電車乗ったことないのか。どうみたってアジア人、日本人のオヤジが人の迷惑顧みず大股開きで王様然と座っているじゃないか。あれみんな実はアメリカ人なのか。そんな馬鹿な。 ガンダム=ニュータイプで論を進めるのもいちげん

今日のクロ現

「今回の場合は無理な供述調書はなかった」だとよ。ゴビンダさんの同僚は渋谷署の刑事から殴られたり仕事を世話してもらったりしたのに! 警察、検察はゴビンダがクロだと確信していたのではない。誰が犯人でもいい、こいつを犯人にして一件落着させたい、自分たちの手柄にしたかっただけだ。不法滞在のネパール人が誤認逮捕だろうがなんだろうが、そんなことはどうでもいい、というのが警察、検察、裁判所の本音だったのだ。 無実の人を15年収監しておいて当該捜査員も検察官も裁判官も詫びの一言もなし。これが世界に誇る日本の司法システムだ。 「自信持ってますから」。平田フホーは、強盗殺人犯が遺体を放置したままその隣のビルで平然と寝起きできると確信しているというのか!?