6月23日BSプレミアム放送の録画を今日観ました。面白い。凄い良かった。 死んだ人間にも八分間の残留思念が残る。量子共鳴でそれと同調することを可能にするシステムとその能力者がいる。というSF設定を土台にした話。まあ科学イタコだ。だからその設定自体の可否はあんま追及しなくていいと思う。うまい筋立てを考えたなと。 こういうロボコップもあるのか、と。 列車爆発は起こってしまった。現実という絶対時間の中で。そして「包囲された城」チームは数時間後に起こるだろうシカゴ市中央部のマスデストラクションを阻止しようとしている。そのため兵士に要求されているのはその犯人の特定。列車の爆破阻止や乗客の退避は必要とされない。それはもう起こったことだから。彼が体験するのは残留思念とコンピュータシステムが再構成した追体験でしかない。 八分ちょうど。あの幸福な瞬間で幕を閉じても、凡作ではあれど映画はともかくも凡作として成立しただろう。よくある話。ま、こんなもんさ。なにもかもがうまくいくはずはないさ。これが最大限の贈り物だろう。そんな諦念とともに誰もがここですべてが静止すると思ったその瞬間、再び時が紡ぎ始める。彼らはそこを超えたのだ。映画は奇跡を起こし、死者は生者となり、量子力学的多世界描像の解釈において兵士は物理学者に勝利したのだ。 ヒロインミシェルモナハンの顔貌、肢体、着衣がまたエロくて素晴らしかったね。それも加味して百点。 思想、年齢、雰囲気すべてチャールストン教会乱射事件の犯人を予告していたのは作品の炯眼であるか。エンタテイメント作品においてそれをストレートに題材化できるほど、米国において顕在化した脅威なのだろう。トレモロシたいひとたちの奇妙な情熱は。 監督、ダンカンジョーンズ。2011年作品。