エックスメンって一度もちゃんと観たことがない。テレビでやってても二十秒ぐらいで観るのやめちゃったりしてた。全然面白くなる気配がないので。 一度はちゃんと観ておこうと思って今回最後まで観た。結構苦行だった。 なんだろうね。あの。 別にね、こういう題材でエンタテイメントつくっても、いいとは思うのね。 スピルバーグやタランティーノ、バーホーベンといった監督はそういうことに成功してると思うのね。但し、その扱う題材について強い問題意識あってのエンタテイメント化であってね。 マシューボーンという監督にそういう、深く考えた形跡みたいなのはさあ、あんま感じられないんだよね。 キューバ危機とか強制収容所とか、そういうの出すと意識高いって、賢いって思われそうじゃん? ちょっといいじゃん? っていう、いかにも頭の悪いひとの発想を感じてしまうのだけれど。 監督さんにその責すべて負わせていいのかわかんないけれどもさあ。映画の作られ方に詳しくないから。 「ユダヤ人はナチスから酷い目に遭ったので歪んだ考えを持ちがち」とかっていう主張の映画があったらかなりひどいと思うんだけど。まあこの映画のことなんだけどさあ。 政治に関心を持つことイコール善、ではまったくないことは昨今もう常識の範疇にあるかと思う。インスタントな目学問から出来上がるのはネット国士やトンデモ史観。お脳の弱いひとは天下国家のことなんか関心持たない方がいい。そんな気持ちを加速させてくれる映画である。 「あなたはいまのままでいいの。いまのままでいるべきなの」ってのもさあ。これ、個を尊重する先進的主張のようでいて、その押し付けがましさ、独善においてファシストの民族差別とまるで変わんないんだよね。あえて言うなら胸に六芒星つけさせる行為。家にペンキを塗る行為。だから冒頭に自分で映像化しておきながらその意味を作り手自身がまるで理解してないってことなんだよね。ひとにレッテルを貼るということの非人道性を。 しかもそれを言ってる女の能力は「変幻自在」だという。ギャグですかと。タチの悪い冗談ですかと。いつでも思うままに外貌を変えられる女が「あなた、普通の人間と同じになりたいの? ありのままの自分自身でいなさい」ってひとに説教。 これがまた結局サカってるだけの小娘なんで余計腹立つんだよねえ。なにをお前