ネットで概ね悪評ばかりの印象があったんで観たら意外に面白かった。うん。先行して悪評ばかりに接していてよかった。 クレヨンしんちゃんだよね、これ。 クレヨンしんちゃんの映画ってダイハードやコマンドーやダブルオーセブンをベースに作られてんだけど、これ逆にしんちゃんの映画に影響受けてる。そんな気がする。 ジェームズボンドがお父さんになる話なんだよね、これ。つまり野原ひろし役。しんちゃんは出ないけどみさえとひまは登場。 お父さんになったからもう行きずりのアヴァンチュールは楽しまないし家族を取り返すために戦う。家族を守るために覚悟を決める。 チームが集まって静かに彼の死を悼む。あれがまたよかった。ジェームズボンドは彼らにとって単なる仕事の付き合い、偶然の同僚ではなかった。友達であり仲間だった。大英帝国の利害よりももっと大きななにものかを守り、それに殉じた。冷笑家が鼻で嘲笑う存在、正義の味方だった。だから彼らはジェームズに惚れ、固い絆で結ばれた。彼らはジェームズの遺志を継ぐはずだ。 そして流れる馴染みの歌。シリーズに対する敬意も込めつつ、ダニエルクレイグの007を終わらせる鎮魂歌としてもふさわしい、感動的な終幕だった。 そう、マルチバースで言えばこれはダニエルクレイグの007シリーズだったのだ。連作としても見事に整合性があり、流れがあり、そしてなにより、終わらせた。完結したからこそ永遠性を獲得したのだ。 CIA(だよね?)の姐ちゃんよかったね。可愛くてエロくて大サービスのアクション。最初にへどもどド素人の如く振る舞うとこが逆のリアリティーを獲得してまたよかった。そうだよね。わたしは超一流のスパイ然と振る舞う方がむしろ背伸びしたい盛りの中二病だ。