高校野球など全く興味のない俺だ。しかし太の母親、つまり俺の姉貴が2年前離婚したこともあって、俺はもう4年も会っていない甥っ子のことがどこか心に引っかかっていたのかもしれない。 炎天下に放たれるやや暗い影を帯びた独白。 「あんたいい体してるねえ」 「え!」 「なんかやってたの」 「いや。そんな……」 次のコマが情景描写の捨て駒と見えて、実はしっかりゴローさんの肉体美が女子の視線を総ざらいに奪っていることがわかる。これが注意しなければ読み飛ばすくらいのさりげなさで描かれているところがうまい。谷口先生が通に好まれる所以である。 前回の立ち回りと併せ、ゴローさんの謎にまたひとつ肉薄するエピソードである。