かなり良い。これは予想を裏切られた。 正直気が進まないまま観始めたのだ。いわゆるファースト原理主義者(になるつもりは別になかったのだが)だから。ともかくゼータ以降が幼稚でことごとく技術的映像的にも退歩退化してるようにしか見えなくて。だからこれもそういう一群の、いかにもオタク臭いものかと思ってたら。 ファースト(及びコミックのオリジン)以外で感心するガンダムに出会ったのはこれが初めてじゃないか。 非常にスタイリッシュ。キャラデザ、作画もいい。コックピットのモニタ視野が素晴らしい。 人間が地上にいる至近でのモビルスーツ戦のリアリズム。降ってくる溶けた金属。 ラストの一騎打ちなども演出にある種の思い切りがある。すなわち、戦闘をわかりやすく見せることの放棄。勝負は一瞬に、わけわかんない状態で決する。ならばそのわかりにくさ、わからなさをゴロリとそのまま皿に載せて提供すればよいのではないか。というコペルニクス的発想。 いや、観始めたときは暗澹たる思いにとらわれたのだ。いきなりいちばん大嫌いなアニメ的クソ女が出てきたから。おとな舐めくさって組んだ脚でセックスちらつかせるタイプ。またこういうのかよ! と思ったら、これに処するハサウェイがよかった(百パーよくはなかったが百パーいいと映画は20分で終わる)。「きゃー!」「ご、ごめん!」赤面する主人公、という5兆回は繰り返されたようなクリシェをひとつずつ丹念につぶしていく。「あー、もうそういうのいいから。業界でラッキースケベって言うんですか? 育ちの悪い下品な女だ。俺ァメンヘラの馬鹿女にはさんざひでえ目に遭ってんだ、もう懲り懲りなんだよ!」。とてもよい。そのあと助けたりしなければもっとよかったけどそうするとやはり映画がすぐに終わる。ここで負い目をつくったから、仲間を捕られるはめになったから、大将自ら大将機で取り返す展開になっていく。 そうして帰投したパルチザン(マフティー)基地の雰囲気。これが素晴らしく気持ちいい。活気に溢れ士気が高い。マフティーがいかなるものか説明的なセリフはほぼないが、政治教義など語らずとも彼らの気持ちの良さ、佇(たたず)まいが雄弁に語っている。けして狂信者の群れではないと。 これに先立つなんとか君との戦闘もまたそうだ。名前は忘れたが要するにこれは最新鋭機ガンダムを操る連邦の天才少年アムロレイに他ならない。その