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マンオブスティール



冒頭まさに「鉄の男」として登場したときは、彼が鉄骨を持ち上げる動作そのままに期待感もググっと持ち上がったのだが。仄聞していた先行する悪評をなぞる形で自分の気持ちも速やかに萎えていったのでした。
注意されたそばから夜中フードもかぶらずマイナス30度の外に出て、命綱もなしにあの絶壁よちよち歩くシーンでもう大体見切れました。
脚本に光る部分も散見されるのではあるが。彼の本当の敵は実は、という、デビルマン問題が提起されるあたりに。しかし映画はエンタテイメントなので、アクションが工夫に乏しいどつきあいに終始されては、どうも。

あしたこの星は終わりますが、君らには終身刑を課します。っちゅてみんな死にました、犯罪者安全に生き延びました、っつうクリプトンの政治社会体制は確かにいろいろ終わっている。終わってしょうがない星だ。
多方面に植民星を求める努力がひとつも実を結ばなかったというのも、担当大臣、官庁、無能に過ぎる。高度な科学技術と意思決定のアンバランス。お父さんがクリプトンのユートピアに見切りつけ地球人に期待するのはそういう意味で筋が通ってはいるか。

ヒーロー映画におとなのリアリティーを、というのがノーランメソッドであるけど(でもノーランのリアリズムって、天下国家を語りながら切符の買い方知らない、服自分で買ったことがない、ような、偏頗な歪みがあるんだよな。クリプトン文明に似ている。)、リアルを志向するほどに原典との齟齬、乖離は覆うべくもない。スーパーマンというお話はもうどう煮ても焼いてもその耐用年数、賞味期限を過ぎているのだ。だからやるならウォシャウスキー兄弟、宮崎駿のアプローチこそが正しいのでしょう。自身の問題意識と切り結んだオリジナルストーリーの構築。原典に超時代的な、普遍的な魂があるならば、それは逆にそういう、原作をなぞらない地点にしか蘇生しない。そういう背理が存在するものかもしれない。

以上拙文より、以下の論考が秀逸。

資料1:モヤモヤ超大作「マン・オブ・スティール」のスーパーマンが煮え切らない件
http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20130906/E1378398467944.html

資料2:『マン・オブ・スティール』批判への批判に答える
http://d.hatena.ne.jp/terasawa_hawk/20130909/p1

資料3:『マン・オブ・スティール』ネタバレ映画レビュー
http://d.hatena.ne.jp/type-r/20130912

資料4:Fleischer Superman Cartoons: The Mechanical Monsters
どつきあいがどうにも単調退屈な理由、それは監督ザックスナイダーがむしろあまりにオタクであるため、通でありすぎるため、ということを、資料3より見て取ることができる。

コメント

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