きのうの発売日に購入。その日のうちに二回読み直してしまった。
16巻に続き17巻も高邁な倫理の書であった。面白いだけのエンタテイメントではない。
ケニーアッカーマン、彼女にその場のでまかせを言ったとしか思えない。彼はただ、自分と同じ人間をそこに見いだしたから、生存に意味を感じられないニヒリストを感じたから、ただ彼女を、彼らを喜ばせたくてまったくの出鱈目を瞬時にでっち上げたようにしか見えない。
本当にそのつもりがあったのだとしても、彼らが岩の下敷きになった以上、もはやその総転覆とやらを実行する理由はなくなってしまった。
しかし気になる。虚無の底にまで沈んでいた精鋭兵たちの目を瞬時に輝かせたのは、その場の法螺にせよいったいどんな計画だったのか。どんだけ彼らが心酔できる夢、希望、リアリティーに満ちていたものだったのか。
大団円を思わせる、なにもかもうまく収まる展開に頁を繰る手が固まった。これじゃあもう終わってしまうじゃないか!
しかしそんなはずもなく、この幸せな道行きは当然人類に芽生えた希望を根こそぎ粉砕するための残忍な準備であるに決まっている。
うまいねえ。見事騙された。毛むくじゃらの猿だもの。「つまり猿の惑星ってこと? 絶滅に追いやられた動物たちの復讐?」みたいに、見事にミスリードされてしまった。中身あれだもの。
でもあれ誰だろ。ザックレー総統に似てるけどたぶんもっと若いよねえ。初見だよなあ。それとも意外に既出の人物なのか。
眼鏡が特徴的だし、あのようにわざわざ見せているカットは謎掛けでもあるのだろう。
あれもね。タオル巻いた教官、伏線だったんだね。「他にもこんなふうなひといますよ」いう。うーん、読めなかった。つまりあのひと、もう作品冒頭からいたし、作者は周到にすべてのキャラクター設定を緻密に終えてから出発してるんだよね。行き当たりばったりの作劇ではまったくない。
凄い凄い。本当に諫山創、凄い。
いい雰囲気になってるふたりの前に出現する目の座ったミカサ。嫉妬も殺意も隠さない、こんなヒロイン見たことない。
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