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「E.T.」(1982)

イーティーをいま頃観た。去年秋の金曜ロードショーの録画をいま頃観た。1991年金ロー放送のリマスター版だ。

んー。

これはイーティーという名の宇宙人だ、というのをみんな知ってるのにそれを知らないふりしてクッサイ演技してる下手くそな子役たち。そんなふうに見えちゃった。演出が下手。ホン(脚本)も良くない。ほんとにスピルバーグの映画? ってなんか驚いたしガックリきた。すっげえ退屈。

話としては怪異譚。それに現代的粉飾をまぶした。そんな感じ。

嫉妬深いことで有名な宮崎駿だが、「となりのトトロ」はこれへのアンサーな気がする(カリオストロはスターウォーズに対してのそれ)。「怪異譚だろ? 下手くそめ。俺ならこう撮る」と。んで実際トトロの方が出来は良い。別に宇宙人である必要ないんだから。森の怪物で十分。実際エリオットたちも森にこだわってた。宇宙のスケールから言えばコンタクト地点があそこである必然性などゼロなのに。

浪川大輔の棒読みへたっぴい加減のみならずもともとのエリオット役がやはり下手くそなのも見ていてつらい。

死にそうなイーティーのそばで「そんなことしちゃ駄目だ! ほっといてよ」とうるさく叫び続けるエリオット。どう考えても必死に救命措置を施す大人たちの方が誠実で頼もしく愛に溢れている(マスクを取る表情からも、政府機関の目的は地球外生命体との平和的接触にあることが感じられる)。エリオット、ただのクソガキ。

鍵束のひとが実はいいひと、いう展開は良かったね。あれは「未知」のラコーム博士とキャラクター的にはおなじ。「十歳の時からこれを待ってた」のセリフから至純の魂を持つのはまさにこのひとだとわかる。エリオット、ただのクソガキ。

長いよな。三十分でいい話を薄めて二時間にしてる。クライマックスの飛翔を際立たせるためには中盤のあれは必要なかったはずだ。意外性が薄れてしまった(時代的に仕方ないとはいえ光学合成丸出しなのも興ざめ。それに、なんで漕ぐ?)。

政府の重要ミッションのさなかだいうのにこども、奥さんをあんな自由に泳がせてんのも変。やっぱ演出が弛緩してる。スピルバーグがメガホン執ったにしてもまあいつものやっつけ、3日くらいでたいした思い入れもなく余技で撮ったんじゃないか、とか思う(早撮りは彼の習い性)。

ジョンウィリアムズのスコアが素晴らしいのでそれがまたフィルムのみすぼらしさを際立たせていた。ヨーダのとこは笑った。

所帯じみた不細工な奥さんとうるせえクソガキどもを食わせていくだけの電気工事夫人生につくづく嫌気が差して宇宙に逃げる話(未知との遭遇)の出来の良さと真反対。

イーティーにもそういうフックはあったんだけどね(メキシコの父ちゃん)。だから裏テーマというか、表層に語られてるものとは別の話がメタレベルにあるんだろうとは思う。観客の動員はそこに感応したのか(追記: wiki見たら離婚のメタファーとあった。なるほどね。ラストのお別れが妙にもったいぶってもたつく理由が解けた。

シワだらけで首がずんずん伸びる異形の者。指と指をくっつけ合う妙に背徳感あるシーン。これ、男性性器のメタファーでありつまりお父さんのシンボル、文字通りシンボルなんだよね)。

ハロウィンの奥さん、エロくて良かったね。

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