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8月, 2022の投稿を表示しています

「バットマン&ロビンMr.フリーズの逆襲」BATMAN & ROBIN, 1997.

 午後ロー160322の録画をいま頃観た。初めて観た。 冒頭そして途中の尻! 股間! 乳首! のどアップが素晴らしい。大爆笑だ。 そして……それだけ! いいとこはそこだけ! ティムバートン以降の暗けりゃいいんでしょリアルならいいんでしょバットマンを原点回帰させるアテンプトは正しいと思うのだ。大金持ちのいかしたプレイボーイとしてジョージクルーニーの起用もぴったりだし。しかしセリフが饒舌。お話も幼稚過ぎる。カネはちゃんと使われたのかと疑うようなセットのチープさ。ブルースウェイン邸、誰でも玄関にアクセスできるしドアを開けたらそこは居間だ。 この映画の失敗がたぶんその後のバットマンを頑なに決定づけてしまったところはあると思う。つまりこの映画がダークナイトを準備した。こども映画じゃ駄目だと。やはりおとなの鑑賞に耐えるダーク路線でないとと。それは小学生的勧善懲悪から厨二病的シニシズムに二、三年進化しただけで依然おとなの映画ではないのだが(トロッコ問題とかやってドヤ顔するのがまさに)。 ひょんなことから巨万の富を手に入れパリに大邸宅を購入、その地下秘密科学実験室から相棒と夜な夜なパリの街に出撃。法の裁かぬこの世の悪を、バッタバッタとなぎ倒して行く。すべてのヒーローアクション、時代劇、そのルーツはアレクサンドルデュマモンテクリスト伯であるが、当然バットマンも直流の子孫である。であるなら、代官商人の哄笑にかぶせて高笑い、「何奴!」見栄を切ったのちチャンバラ、悪を倒してめでたしめでたし、今日もお江戸は日本晴れ。バットマンはそれでいいはずなのである。最初のキャンプなTVシリーズに回帰したかったシューマカー監督の意向は全面的に正しかったと俺は見る。 好みの問題であるが俺ユマサーマンが美人であると思えないし(タランティーノの好みであることは重々承知)。あれになんか息とか吹きかけられても「くせっ」としか思わんし。キス? 冗談じゃない。 アリシアも美人と呼ぶには癖の強すぎる顔だしなあ。 最初の映画のキャットウーマン(全身ラバー。レザー?)を超えるエロいヒロインはいまだ生まれていないように思える。 魅力的な女性が次々出てくるのにウェインもロビンもまったく秋波に流されない。不自然なくらいに! そういう作劇であればよかったのにと思う。ラバー、レザーへの偏愛は素晴らしく表明できたのだから。ホモセクシ

「ブレイブ ワン」The Brave One, 2007.

午後ロー180122の録画をいま頃観た。 つかみはオッケー、という言葉があるがこの映画、つかみで大惨事。ラジオDJの主人公、放送終了と同時に間髪置かず傍らのバッグななめ掛けして「じゃあお先」って。バイトか! 大学の講義か! 学生か! そういう感じの変な演出が随所にあっていまいち乗れない。ジョディーにこの役を演じさせるのは明らかにミスキャストで、アップで映るしわしわのお婆さん口は正視に耐えなかった。これはジョディーがかわいそうだ。 と、いう、いろんな不満が、周到なネタフリなんですなこれが。 クライマックス。はいはい、またこのパターンね。どんな悪人であろうとも裁きは司法で下す云々。はいはい、寸前で制止ね。と思ったら! いやあ、これは度肝を抜かれた。意外性のある脚本。ここに至るまでのつまらなさ酷さはつまり映画の程度を見くびらす意図的な演出だったのね(ってそんなはずもないんだけど)。 これ、なんの話かっていうと、ニューヨークシティーを悪党どもから守るダークヒーロー誕生譚。お話の第一回。 バットマンと明示しないバットマンなわけです。うん、こういう方法論、いいと思う。 最後まで我慢して観てほんとよかったんだけど、さて、ひるがえって考えてみるとラジオDJであることはほぼ活きてない。ポエミーで衒学的(だからむしろ頭悪い番組な印象)なナレーション、モノローグは聴くに絶えずむしろいらない設定だったのでは? と思う。 刑事役のテレンスハワードはよかった。端正で知的。最後の最後、勇気ある者(The Brave One)とは誰かといったら彼であることがわかるわけです。そして幕。エンディングはほんとに掛け値なくよかった。

「ラストスタンド」The Last Stand, 2013.

 午後ロー210219の録画をいま頃観た。 導入部5分で「あー低予算ね」と見切りをつけるというか見切るというか侮(あなど)ってしまったわけだが、これがどうしてどうして。予想外に良かった。 シャツェネガという(かつての)ビッグネイムを迎えつつ決して大向うを狙わない、むしろ低予算の限界を見切った上でその範囲内の無理ない成功を目指している。そういう手法が功を奏してまとまりのいい小品、しかし傑作に仕上がっている。 新味を出そうとか奇を衒(てら)おうとすればラヒーになったりキンダガになったりする。許せぬ悪をシュワちゃんが討つ! 殺したあとには捨て台詞(ゼリフ)。ただそれだけ。当たったシャツェネガ映画のオーソドキシーを忠実に守ったのが勝因だろう。 「違法駐車は高くつくんだ」で幕。洒落てる。オープニング回収。グッド!👍 シュワルツェネガ本人の老い、をも題材として上手に取り入れてあるのもまた良い。老いたるとはいえ調子こいた若造にはまだまだ負けんぞ、と。 全米ライフル協会擁護にも見えるシーケンスがあるが南部の保安官ものであればまあ致し方なしか。 ナチ野郎をぶっ殺しまくったガトリング砲にはもうちょっと活躍して欲しかったかな。屠ったのせいぜい3,4人じゃなかったか。もうちょっとこう、景気よくね。悪党どもを。 午後ロー版、玄田哲章吹き替えもまたうれしい。名調子! ラストスタンド(吹替版  アマゾンリンク )

「メッセージ」Arrival, 2016.

 フジ深夜Tナイトの録画をいま頃観た。 コンタクト物としてとても良く出来ていて観ているそばから興奮した。「未知との遭遇」式の演出はさすがにいまは通用しないよね。「実際にこういうことがいま起こったらどうなるか」のシミュレーションがずっとリアル。だからアプローチとしてはシン・ゴジラと同じなんだけど、リアルを描くその文法が違う。あっちは早口喋りの濃密なテクスト情報量。こっちはゆったりとヴィジュアルで見せて行く。庵野演出はあれでいいしこっちにはこっちの良さがある。 導入部でミスリード、ムービートリックがあんだよね。時系列をあえて誤読させるように作ってある。うん、最初のお母さん役の時より講義に出る彼女、なんか若やいでんだよね。たぶんメイクとかちゃんと変えてんだろう。 中国人民解放軍が率先して悪者になる展開もちゃんと回収される伏線。 時制なく世界を見れるのなら爆薬にもっと早く気付けないのか。そういうオールマイティーな能力ってわけじゃないのか。ってのはちょっと思った。 彼女は世界を救いファーストコンタクトを成功させたわけだけど、手放しで喜べない苦いエンディングでもあった。成功の代償にしてはあまりにつらい。恋の成就も新しい命の誕生も、その先を知っている彼女からすればロマンチックでもまったき喜びでもない。諦めが先に立つ人生。俺だったらちょっと耐えられない。凄みというか鬱みのあるSF映画だ。 メッセージ(吹替版。アマゾンリンク)

ハドソンホーク Hudson Hawk, 1991.

 これ、面白いと思ったひとこの世にいるんだろうか? 午後ローの録画をいま頃観た(たぶん過去5回くらい録画してて今回初めて観た)。 ジョエルシルバーと言えばダイハード、マトリックス。ヒット作連発の名プロデューサーである。 監督が悪いのかなあ。悪いんだろなあ。マイケルレーマン。華々しいフィルモグラフィーはない。 ホン(脚本)もひどいんだろうねえ。しかしデスーザだ。コマンドーの。ということはもうひとりのダニエルウォーターズに疑いがかかるが、ウィリスの関与も大きかったらしい。製作に関わるべき才能ではなかったようだ。 ホークが5,6っ回は「ムショから出たばっかだってのに!」って最初の20分で繰り返す。語るべきことが何もないため無駄ゼリフを連ねてる感が半端ない。そして歌い出す。ミュージカル? そういうわけでもない。 演者全員「これ大丈夫なのか?」って不安に思いながら精一杯気を張ってゼニ仕事をしてる、そんなふうに見える。 世界征服の企てを阻止する英雄譚、なんだけどその中でも最低ランクの作品に違いない。見事91年ラジー賞の栄冠に輝いている。 修行か? っつーくらいに苦痛で退屈な一時間半(午後ロー尺)であった。 ハドソンホーク(アマゾン)