配信でいま頃観た。
Xメンを実はちゃんと観たことがない。なにか特につまらないやつを一本観たことがあるけど内容をほぼ覚えていない。
だが世評通りこのローガンはよかった。
落魄を描いた映画といえば成瀬巳喜男の「さすらい」があるが、それと同じしんどさつらさをまさかスーパーヒーロー映画で味わうことになるとは思わなかった。いや、そんな作品だからこそ流れてくる評判もよかったのだろうが。
いろいろあって家を失うまでに至った老人、壮年がいろいろ頑張ったが結局全員行路病死する。アガる要素ゼロの話である。
大急ぎで移動しようと車椅子をたたみ車に詰め込む。彼を抱えあげ座席に座らせる。プロフェッサーXは悪と戦う司令塔どころか社会のお荷物、家族のお荷物である。加えてなにか大変なことをしでかした結果がこの平家の落人的な状態の原因らしい。彼らはパブリックエネミーなのだ。
父親が銃口をローガンに据える。弾切れで思いは果たせず彼はそのまま絶命する。つらい場面である。どうもローガンなりXメンたちというのはそういうキャラクターらしい。ひとを助けるどころか結果として迷惑をかけ恨まれていくのだ。彼らに落ち度がないにも関わらず。
殺戮描写はイクストリームで素晴らしかった。ひと殺しはよくないぞ、と通り一遍の説諭を父は娘にするが行動がそれを裏切っているしそれでよいのである。相対化する必要のない厳然とした悪。それを叩くに情けは無用! 娘は正しく父の行動から正義を学んでいる。
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