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8月, 2013の投稿を表示しています

バルジ大作戦

「コンラード。この世界はけして我々をお払い箱にしたりしないぞ」 「でも。それじゃいつうちへ」 「ここが、俺たちのうちだ」 ナチ流の蛮行を憎む聡明な合理主義者と見えた独軍戦車部隊指揮官ヘスラーが、実は三島、ヘミングウェイばりの特殊な嗜好に生きる者であると判明するシークエンスが秀逸。 彼は戦勝を目的としない。止むことなき戦闘状態。男だけの世界。制服を身に付け永遠に戦場を駆け巡ることがこの男にとっては至福の境涯なのだ。

ねこタクシー

http://www.nekotaku.info/tv/ 首を傾げる件りがないわけではない。コントラバスの少年は「僕ちょっと変なんです」とか言ってる場合じゃなくて精神科を受診したほうがいいし、教師の寵を得ることが受験を、将来を決定するという学校観は歪んでいる。老人介護職に無限の奉仕、最高の倫理を求めるのもそれこそ非倫理的な要求に見える。 しかし、御子神さんと山下リオ。この発狂しそうなかわいらしさ、美しさをフィルムの上に永遠に焼き付けたその営為だけで、多少の瑕疵などすべてが吹き飛ぶ。このドラマ製作は人類史に残る偉業である。 「初めて乗ったタクシーが、父さんの乗ったタクシーなんて、おもしろいね」 「そうだな」 このシーンの静謐な美しさはリドリースコット「ハンニバル」の「音のないパトカー、ヘリコプター」に匹敵する。 威張らない。子どもに向かって聞いたふうな口を叩かない。自信なく今日もおどおどと日を送っている。俺にはカンニング竹山演ずる間瀬垣さんこそがむしろ理想の父親に見える。人間の常態に見える。彼のようでないおとなたちこそ、むしろ内心の不安を圧し隠して日々虚勢を張り、ある日その馬脚が顕れる幼稚なこどもに見える。 最終回の展開には唖然とした。それこそ気が触れそうになった。いや、気が触れた。 あまりにつらい。残酷に過ぎる。 エンディングテーマがフル尺でかかる。せめてもの救いである。 御子神さんはちゃんと生きていた。またもや崩壊を前にした場所で。それだけは救いである。 崩壊しかけていた間瀬垣家はその紐帯を取り戻した。ここはもう大丈夫、と、御子神さんは次の崩落現場に移動した。そして触媒よろしく彼自身は何事をなすこともなく、ただ御子神さんに触れた者の方が勝手になにものかを回復していくのである。

Season 3 第七話 目黒区駒場東大前のマッシュルームガーリックと牡蠣グラタン

http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume3/story/index.html でもうまそう。うまそうやなあ。ええやないか。たこやき。ええやないか。  ならば、店名かんむり系かあ。  いま俺の中は、夏のパン祭りだ。ぼrrらーちょ。ぼrrらーちょ。 脚本、田口佳宏。 演出補、井川尊史。 監督、宝来忠昭。

中川淳一郎、『ネットのバカ』。

シベリア

スーパーにこういう値段で投げ売っていたのは、そしてそれに出くわしてしまったのは当然「今日お前はこれを食うのだ」という神の指令である。買わざるを得ない。食わざるを得ない。 うーん。 羊羹がねえ。 これが小倉餡なら、つぶあんなら、おいしくなるのになあ。 それじゃどら焼きじゃん。 つまりですな。おれは羊羹はたぶん好きなことないし、このお菓子は俺には失敗ということです。 むかーし食った時もおんなじ感想を抱いたんだよな。それは今回も、「風立ちぬ」を観たあとでも変わらなかったということです。 当時にあってももしかしたら「甘すぎ」とか言って一般に嫌われていたのだったりして。 まずい、とまでは言わんです。でも積極的に食いたい味じゃない。

プロメテウス

映画館で、みんな思っただろうね。あの「焼く」とこで、決定的になっただろうね。「これ、バカ映画だ」って。顔面蒼白になったんだろうね。 映画館までわざわざ観に行ったひとたちかわいそうだ。いまこうしてブルーレイ買って観た俺もかわいそうだ。 焼くの、いきなり焼くの、おかしいよね。なに考えてんだ、あのいちばん綺麗な姐ちゃん。 だってさあ、他にたぶん百以上オプションがあるだろう状態でですなあ、「これしかないのよ! 焼くしか、焼くしかないのよォォォオッ、エレクチオーンッ!!」って瞳孔全開でテンパッて火炎放射器の引き金引いちゃうの、おかしいでしょ。 でもこれたぶんリドリーの演技指導ついてんだろうね。監督の確信犯なわけだよね。役者もスタッフもみんな「これおかしくない? 変じゃない?」って思ってんだろうけど、天才リドリーの指示にみんな黙々と従ったんだよ、きっと。 変だけど、変だから、このあと映画急展開に狂っていくもの。多少面白くなるもの。 時間軸としては、つまりこの後日譚なわけね。エイリアンは。ノストロモ号は。ちんぽキャノンの謎がこうしてつながったわけだ。 あの、なんか、「つながらない、こことこことここがおかしい」って頑張って論証してる向きがあるけど、あのねえ、八割あってりゃもういいでしょ。残りの二割に重大な、決定的な齟齬が隠れていたとしても、もういいでしょ。 もういいの。これは前日譚なの! 決定! いろいろつながらないとこはあえて無視するの。それがおとなの見方なの。自分の脳で映画の至らぬところは補完してあげればいいの。 映画に限らないの。大体でいいの。そういうもんなの。 リドリー自身が絶対言うから。「あの。映画だから。そんな真面目に観なくていいから」って。 人類史に残るミッションだというのに搭乗員の殆どは目的も知らないまま寄せ場で手配師に集められた連中、着てるものは週末ヨーカドーの特売で買った普段着、というのはエイリアンフォーマットのお約束。もちろんいい伝統です。宇宙だから銀色全身タイツ、っていう固定観念をゴミ捨て場に廃棄したのがスターウォーズと並んで映画エイリアンの一大功績。 宇宙船内に結構でかい講堂が複数ある、というのも今回付け加わった、意表をつくいい意匠ですね。 秘宝で「なんでそっちに走る!」とみんな怒ってたその理由をよおやっと知った。

パシフィックリム

http://wwws.warnerbros.co.jp/pacificrim/ うーん。期待デカ過ぎたなあ。 最初の5分ねえ、良かったのよ。もったいぶらねえ全部説明。プラグスーツ電動ドライバでネジ止めするとこなんてグッと来たね。デトロイトかよ、と。工場かよ、と。なんか日米の違いに気づきましたね。エヴァはスーツもメカも汚れてない。いつも新品同様。やっぱりなんか感性が違う。 パシフィックリムという題名の由来に感心したね。なーるほど。海溝周辺の自然災害をカイジューに見立てたわけね、と。これは監督頭のいいひとだ、とか思ったさ。 映画の進行につれて思ったさ。頭悪いぞこれ、って。相当頭悪い映画だぞ、と。 まあ怪獣大好きなひとたちにはノープロブレモなんだろうけどさあ。 なんか、気持ちわかっちゃったね。オタク男子に映画連れてかれて激怒する女子の気持ち。んー。あんま興味ないと退屈だわ、やっぱ。131分、長かったわ。「まだかなー。早く終わんねーかなー」って思っちゃった。 俺は日頃外面の美醜とかうるさくないのよ。でも思っちゃったよ。「なんだよ、このブス」って。 ぶっさいくな中国人連れてきて日本人役にした(中国人アプリオリに醜い、と言ってるのではなく、きれいなチャイニーズの方もいるだろうにわざわざぶさいくな方を選りすぐって連れてきた、の意です。念のため)のかと思ったら、菊地凛子だって言うじゃん。いや、俺よく知らないんだけどさ。日本の女優さんなんでしょ? なんでエキゾチック日本語発音なのよ。「センセエ、アリガト」なのよ。 濃い顔、濃い化粧。これにぐっと来ますか? 来るんだろうなあ。少なくとも監督は。欧米の東洋人好きのひと、ほんとこの手の顔好きなんだなあ。アーモンドアイのいかにもオリエンタル、っていう顔。 なんかよく見ると微妙に不細工で演技が薄い子役、あとで知ったよ。芦田愛菜だったんだ。どおりで記号的な作り笑顔だったわけだ。 キモオタ科学者二人組みがまた。イケてない人物像だとわかっているのに、監督の中にはどうしても自分の似姿を作品に登場させたい種類のひとがいるようだ。ジョージルーカス然り。バートン卿然り。 あの香港ヤバイ商売黒幕さんエピソードって、必要だったんでしょうか。全カットでよかったんじゃないでしょうか。 最初の五分が良すぎて、もうあとの展開および

Season 3 第六話 板橋区板橋の焼き肉ホルモン

http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume3/story/0814.html 板橋。電車で来るの、久しぶり。 どこか、田舎の駅みたいだ。 「これ要る?」 こどもにごみを差し出すゴロさん。これはちょっとびっくり。意味がわからない。 「焼き方があるんですか?」 「はい。じゃあ焼いてみますね。  まずねえ、こう最初に皮の方焼いてください。  下にしてね。じっくり焼いてください。  で、なんとなーく焦げ目がついてきたなー、ってぐらいですかね。そしたらこうサッと返して。皮が8、あぶらが2、そんな感じ」 「ハチニイですか」 「はい、ハチニイです」 これだよ。たまには、肉焼かなきゃ。 おお! カメラ、排気口越しに! 飯食ってる途中で、場外にエスケイプしたの、初めて。凄い店だあ。  うーん。やっぱ飯には、タレだ。タレ自体旨い。ここ。  肉を焼き、めしを食う。俺の箸は、蒸気機関車のピストンだ。 どうやら「ウオオーン」、人間発電所フォーマットは、シリーズ化したようだ。 煙が、目に染みる。 脚本、田口佳宏。 演出補、井川尊史。 監督、溝口憲司。 山源、山口雅子さん 「あぶらの方が透明になるまでお待ちください」

ねこタクシー 第四話 うんめい

http://www.nekotaku.info/tv/story/story4.html 「ええ! 教育委員会の金横領してるってことですかあ!?」 軽くショックだった。 かつては俺も属し、いまでもまーこが勤めている学校の上部組織の長が、公金横領して愛人囲ってるなんて。 いや、お話しだからあれなんだけど、もしかしたらこれが、あれだろうか。養老孟司さんがなんかで書いてた「とてもじゃないが語れない神奈川の闇」、その一端なんだろうか。

古市憲寿、絶望の国の幸福な若者たち。

「若者」について(そんなものが実体として存在するのかどうかも含めて)の考察を進めていった結果、古市憲寿氏は大変な結論にたどり着く。 ここだけ取り出してしまえば「なんという前近代的な考え方だ」と反発を受けかねないが、冒頭から読み進んだ者にとってそれはけっして奇矯な結論ではなかった。 もちろん古市氏はこれを「はいこれが正解」と提示して考察終わり、にしているわけではない。いろいろと余白がある。こういうのも正解、とあえて提示することで常同的な弛緩した思考に冷水を浴びせる悪意もそこにはあるだろう。 「奴隷の生、家畜の安寧よりも狼の自由を!」とかいうあらゆるイデオロジスト(中学二年生、と言っても可)の勇ましさに辟易するのはきっと自分だけではないだろう。この若き研究者が多く注目と支持を集める所以だと思う。 古市憲寿さんについて「なんか朝ナマとかに最近出てる気鋭の論客」くらいの知識しか持たないまま初めてその著作に触れたが、無類に面白かった。このひとの魅力は語り口。あの「ツッコミ」だよね。定説、世間的常識(特にオッサンのそれ)に対する絶妙なツッコミ。悪意。軽蔑。それがいちいち的を得ているカタルシス。 本文のみならずあの膨大な脚注がいちいち面白い。そうなんだ。面白いんだよ。社会科学のテキストで頁をめくるのが楽しく、時に大爆笑してしまうなんて、そんなこといままで一度もなかった。 新刊も出たようだからそのうちまた購入したい。

Season 3 第五話 中野区東中野の羊の鉄鍋とラグマン

http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume3/story/index.html 東中野昭和の町、新春しゃんしょんしょー。  店は、どこも、独立国だ。ここはこういう国なんだなー。  こっち系の料理にナンは必須。必須アミノ酸だ。  立つナン。これが、アフガンのナンなのか。 脚本、田口佳宏。 演出補、北畑龍一。 監督、井川尊史。

森鴎外、ヰタ・セクスアリス。

鴎外が自分の人生から「性」のタグが付く事象を引っ張りだして編んだアンソロジー。 羞恥を顧みず勇気を持ってすべてを告白した、というような内容のものを予期していたのだがその予想は外れた。鴎外自身は至って性的に恬淡、草食男子そのものだったからである。その彼を取り巻く獣的に性的であった世間一般との齟齬、孤立感の記録になっている。 読んでいてちんぽが勃つような箇所は一箇所もない。オナニーした、遊郭に行った、という散文的事実が記されるのみで、性行為の具体描写は一切ない。しかし明治42年、昴誌上に発表と同時に雑誌は発禁。社会の支配層となっていくエリート学生一般が寄宿舎時代にどういう性生活を送っているか、その実態を描いてしまったこと、公然の秘密ではあるが人口に膾炙することなかった支配階級の恥、その暴露が、明治支配層の逆鱗に触れてしまったためではないか。などと思ったりするが、たぶんそれは深読みに過ぎるのだろう。学識も何もない、特に何も考えてはいない検閲官から当時の大衆向け猥褻本とひとしなみ一緒にされて、ただ機械的に市場から葬られただけであるのが実際だろう。内容の吟味、精査が深く行われることもなく。 語学学校なり予備門なりの寄宿舎で「硬派」と自らを分類する凶暴な男が短躯、柔弱な男子を狙い撃ちに行う性的暴力。それは今日の目からすれば紛れもなくいじめであり強姦であり犯罪を構成するものであるが、主人公が父にその実態を話しても父は眉一つ動かさず言い放つだけである。「ま、そういうところだ。気をつけるといい」。この異常な、弱肉強食の暴力世界がおそらくは江戸期からの、青年教育機関における公許の習慣であったろうことを伺わせる。 弱いものは姦られ、喰われ、強いものが快楽をむさぼる。姦られたくなければ、喰われたくなければ、奪われたくなければ、頑張って強くなることだ。そういう常識を涵養することもまた武人、日本男子の教育だったのだろう。

プなんとかキュなんとかについて思うこと

目ぇでかいよね。気持ち悪いレベルなんだ。 あの、なんか、プリクラとかで流行ってんの? 頭悪い、事件とか起こしちゃうドキュン青少年がSNSにアップするあの写真の感じ。アンバランスな美化。小さい目コンプレックス丸わかりの美化。 ちっちゃい子向けの造型としてあれでいいんだろうけど、おっきいお兄ちゃんたちがはまってるそのパトスがわからない。あの絵で萌えるのかなあ。 化粧で変身、パワーアップってのがまたドキュンくさいんだよねえ。ヤンキー予備軍、キャバクラ嬢準備軍というか。少女の魅力って、すっぴんでしょ? そこらへんも、おっきいお兄ちゃんたちとして納得できるところなのか。オタク、ロリコンたる者が、シャドーだのこってり塗った化粧臭い女でいいのか。 エンディングダンスCGのCG臭さがまたどうにも生理的に受け付けられません。いまだCG、コマ数増やしてなめらかに動かせばそれで正解、みたいなセンスが支配的なのは「進歩ねえなあ」と思わざるを得ない。 止めの美学に気づく人が業界に皆無なのか。 ヌルヌルし過ぎて不気味です。気持ち悪いです。 まあ、文句あんなら観なきゃいいんだけどさあ。だから観てません。 好きなお兄ちゃんたちの情熱が、ひたすらに不可解です。

130730 みうらじゅんのサントラくん▽AMA(海女)ちゃん

http://www.nhk.or.jp/r1-night/mjs/ みうら これから流行ると思いますね。暗ーく語るんじゃなくて。3Pの話を、あの、ハツラツと語っていく、っていうことで、なんか、爽やかな気持ち、… みうら …「俺はしずまだー」(←物真似)って言うんですよね。いまちょっと似てない、ごめん。「俺は、シズマだー」(←物真似)。これ結構似てるんですけれども…

Season 3 第4話 文京区江戸川橋の魚屋さんの銀ダラ西京焼き

http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume3/story/index.html 飲めなくたって、俺には愚痴も弱音も吹っ飛ばしてくれるうまい飯がある。 この店に出会えてよかった。ありがとう。 脚本、田口佳宏。 演出補、井川尊史。 監督、溝口憲司。 久住 これを飯で食うってのも五郎さんかわいそうですね。