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ジェイソンボーン Jason Bourne

※観てきた感想なのでネタバレです。






 スプレマシーにあった大衆騒擾下の追跡劇が質量共にブースト、スケールアップ。ここまでの規模のものがリアルに映像化されたのって映画史上初めてなんじゃないか。

 USマーシャルの名将がまさか三十年後も現役で活躍するとはね。

 ファナティックな愛国右翼的歪みを持たない青年がなぜ高度に攻撃的な特殊部隊入りを志願したのか。ボーン誕生の秘密が全く納得できる形で今回開示されたね。

「戻る気はない? 戻りたいんでしょ」。今後のボーンの展開としてそれもありだな、面白いな、と思う。というか、今回のエピソードは既にその萌芽であるんだよね。IT私企業のトップ暗殺計画をボーンがCIAと連携して阻止する、そういう話。テロ首謀者もまた同じなんだけど。
 アメリカンヒーロー、正義の味方としてジェイソンボーンが毎回悪と立ち向かう、そういう流れに移行した一作目、という地点に本作はあるんじゃないだろうか。

 あれも先行するシリーズへのオマージュだよね。万引き。もうボーンの得意技のひとつと化してしまった。「ジェイソンボーン 特技: 万引き」ってw でもこういうの楽しい。こういう「型」ができたほうがやっぱシリーズ物は楽しい。音楽、構成、シリーズを通して統一取れているのはやっぱうれしい。
 全然違うもん作っちゃったらそれはもう「じゃあ別の映画にしたら?」って話だもんね。ボーンシリーズにする意味がない。

 ラストの盗聴。「で? それが? 何の意味がある?」という反応もあるかもしれない。しかしこれがまたボーンらしい締めなのだ。強さを誇るだけなら彼は工作員達となんら変わるところがない。相手を力でのみならず倫理的にも詰めるからジェイソンボーンなのだ。
「で? だから?」と彼女が涼しい顔でやり過ごすならもう彼女に見込みはない。ボーンから見て彼女は落第である。恃むに値しない。共同作戦など到底張れない。「昔の腐敗した職員はもういないわ」と言った彼女は見事にその予備軍、後継者である。
 ここで顔を赤らめ自身の不誠実を少しでも恥ずるところあれば彼女にはまだ見込みがある。
 常にリクルートする側、ひとを使う、使い捨てる側と信じて疑わない者たちの傲慢をここでボーンは撃っている。選別する側の彼らがボーンに選別、評定されているのだ。

 以上、褒めてきたけどそうしないと誰も褒めないかなあという気が多少したんで。正直感想はうーん、、、ではあるんだよね。
 ニコレットがかわいそうだ。残念。学生として幸せに生きていて欲しかったな。モロッコで救われた命を彼女は大切にすべきだった。
 アルティメイタムで交わされた意味深なひとことも活かされないままに終わったので、いささかうーん、、、ですね。

 ボーンシリーズ大好きだから「もう映画館には行かない」の禁を破ったけれども、やっぱ後悔はするなあ。
 映画館の悪いところ
1.トイレに立てない(いや、立てるけど)
2.上映開始時間は館の都合(当たり前だけど)
3.上映前の予告編とか見たくない。ポップコーン販促CMのうさぎとリス、殺したくなるウザさ
4.視聴のベストポジションをまず取れない
5.上映前の注意CMにもかかわらず携帯をいじりおしゃべりをするキチガイがいる

 今日も最初から最後まで平然とおしゃべりに興じていた女がいたようだ。上映中は音響のマスキング効果で幸い気にならなかったが、終演後「どんな馬鹿野郎だ」と思って見たらばあちゃんとたぶんその娘、ババア&おばさんコンビだった。
 優待料金であることも手伝って映画館は高齢者にとって邪魔者扱いされず長居できる談話室になっているのだろう。
 お芝居の語の成り立ちから思うにまあそういうもんなんだろう。食いもん持ち寄って芝生に敷物敷いてなんか演ってるの時折眺めながら飲み食いおしゃべりに興じる。それがまあ芝居、映画のまったく正しい使用法なんだろう。
 映画館クオリティーの映像、音響機器がコンシューマー価格で家庭に調達できる現今、真面目に映画を観るタイプのひとの足はますます映画館から遠のかざるを得ないだろう。

 応援上映、爆音上映なんてのがもてはやされているけど、明らかに「もうそれくらいしかアドヴァンテージがない、映画館には」の紛れもない徴(しるし)で、この一時のブームは映画館人口の減少を止める力を持たないだろう。

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