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鬼滅の刃がつまんなくて

 フジでやった総集編の第一部を我慢して観たのだけれど。

「きっとこれから、もうちょっと辛抱したら、たぶん面白くなんだよね」って我慢して我慢して観たのだけれど。

最後までひとっつも面白くなかった。


殺人事件だよね。一家惨殺だよね。

なんで官憲呼ばないの。つか来ないの。

「政府は認めていない」じゃねえよ。認めなきゃ駄目でしょ。武装私兵集団なんだから。いろいろバッティングすんだろ。捜査権だなんだ(鬼殺隊のことね)。

「所有を決するのはゲヴァルトのみ! 哀訴嘆願は乞食の振る舞いだ!」みたいな、リヴァタリアン丸出しの事言ってたけど、それなんか意味あんすか。

炭治郎があの状況で助命嘆願すんの、どう考えても合理的な唯一解だと思うんすけど。知らんひとにいきなり「この世は殺し合いだ!」みたいなこと言われても。あんた弱いもん相手に強さ自慢してるだけじゃん。

かないそうもない相手におんなじこと言えます? なんとかかんとかいうひと。言えないでしょ? 言わないでしょ? 俺はこの最初のたぶん山場らしきシーンで相当嫌な気持ちになったよ。

次に登場する爺ちゃんもね。この、出てくる奴がみんなサディストのスパルタ野郎なのは一体なんなの?

こんなん読んで喜んで、みんなドMなの?

爺ちゃんに関してはその無意味に厳しい修行以上に急に甘々になるとこがほんと気持ち悪かった。飴と鞭。これ、カルトの洗脳じゃん。

宮崎駿がアンパン配るあの醜悪な場面を思い出したよ。

どうしてずっとお面被ってんすか。それなんか意味あんすか。顔洗えねえじゃねえすか。

ねずこは風呂小便どうしてんすか。

みんな飯とかどうしてんすか。路銀は? 炭焼きの仕事は? その帳面高価なんじゃないの?

なんで炭治郎が出立するとその日に都合よく全国選抜模試やってんの? 模試会場に全国の少年少女が集まってんの? それとも毎日あんななの?

人類対異生物の全面戦争なんだろ? なんでこども? おとながやれよそんなの。

「俺見逃したかな? 聞き逃したかな?」と思ってリプレイしたんだけど、やっぱ炭治郎別に「俺が鬼を殺す! 皆殺しにしてやる!」みたいに誓い立てた場面ないんだよね。それがなんかいつのまにか戦士たるべく修行する流れになってるんで「なんで?」って思う。

「鬼が元通りにする方法知ってるかもよ」て。あんたその鬼殺隊関係者なんでしょ? そういう基本知識とかwikiとかfaqとかないんすか、それ専門の組織なんに。

っていうような疑問はもうほぼ一分ごとに、際限なく出てくるんで、もうストレス溜まって溜まって。全然楽しめない。ともかく設定も脚本もキャラも演出も、すべてがひどい。

冒頭の家族描写、「いらすと屋の無料アニメ素材引っ張ってきた?」っつうくらい平板で薄っぺらで、もうその時点で十分「駄目だろこれ」って見切りはついてたんだけど。ありし日のねずこ回想もそうよね。こどもの作文レベル。ごはんを食べました。おいしかったです。

無意味に挟まれるギャグもひとつも笑えないし。

なぜ? なぜこれが大ヒット?

全然、全っ然わからない。


小学生にウケるのはわかる。これ明らかに中学入試のメタファーだもんね。修行して強くなって、殺される側から殺す側に回る。人生は厳しいんだ。弱い奴はみんな死んじゃえ、俺は生き延びるぞ。ストイシズムの裏面に張り付いているのは小学生らしい陰惨かつ自己中心的な人生観、世界観だ。

うん、だから、小学生とサラリーマン(人類二大頭が弱い生物代表)が熱中すんのはそりゃそうか。ジャンプらしいっちゃらしいんだよね。

集英社の編集にしろ会社にしろ、そりゃ売れれば万々歳だもんね。「わっかんねえもんだよなあ」。首かしげながらあれしてんだろうね。


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