シンエヴァプライム公開に合わせてアマゾンプライムは庵野秀明特集と言ってもいいくらいに見放題のラインナップを揃えた。かねてから気になっていた「式日」をこの機会に観ることにした。
うーん。
エヴァからSFメカ戦闘要素を抜くとどうなるか? 式日になる。
そしてそれはどうなるか? というと、壮絶につまらないのであった。
SFメカ戦闘以外のエヴァ要素が全部揃っているのに。
宇部。鉄道。儀式。赤い傘(ATフィールドの機能を持つ)。赤い海。家族の相克。メンヘラ女。飛び降り自殺確認行動(これはエヴァというより庵野)。パイプ椅子。カウンセリング。多少のエロ。
面白くなりそうでしょ? 要素だけ見たら面白くなりそうでしょ? エヴァとおんなじなんだから。でもそれがまったく面白くない。
なんでなんだろうね?
二時間七分は長いよ。この内容で。前半一時間はいらないよね。ばっさり切っても差し支えないんじゃないか? 延々「あしたなんの日か知ってる?」繰り返すだけだからね。
お父さん? らしきひととか自転車眼帯男(これも綾波要素っちゃあ要素)とかお母さんとか、ひとが登場すると退屈極まりない学祭アートフィルムが急に生き生きと動き出すよね。アニメーション効果もあいまって(監督の本領)。俗なドラマっていかに大切かを教えてくれる効果はあった。二時間アートだけはキツイって(マリエンバートもつまらんかったよねー)。
製作に疲れて鬱になったアニメ監督が故郷の宇部にふらり戻ったらこころの壊れた女と線路で出会い……って、これ、庵野監督の私小説、かつシンエヴァとプロットまったく同じなのよね。だからシンエヴァって式日の復讐戦とも言える。まったく同じ内容でもひと手間かけると大化けするわけだ。映画の不思議である。
プロフェッショナル仕事の流儀で庵野監督、宇部新川駅で同級生に邂逅すんだけどこれと完全に同じシーケンスが式日にまんま出てくる。予言の書となってる不気味さはある。監督が奇跡をやたら口にするのもむべなる哉である(この奇遇がシンエヴァのエンディングをもたらしたのかもしれない)。
おれ藤谷文子大好きだからかねてから観たい映画ではあったんだけど、キチガイ役とはかなりかわいそうであった。顔にもいろいろ塗りたくられちゃって。お父さん(こわいひととして有名。午後ローでよく見る。近接戦闘が得意)は多少ムッと来たに違いない。……観ないか。お父さん五分で熟睡だろう。
脚本、言葉の選び方なんかも雑だったなあ。ラスト「親の愛情をいちばん必要としているときに」はいくらなんでもねえだろう。そういう客観的な、教科書的な言葉をメンヘラ娘が吐く? なんか雑だなあ、駄目だなあ、と思った。まあそこを直せばぐっと良くなるとかそういうレベルでもないのでもう文句つける意味は格別ないんだけど。
クライマックスの大竹しのぶがもったいないくらいの無駄遣い、無駄撃ちで。
確かに監督欝期のダウナーな作品よねとは思う。
コメント
コメントを投稿