Fiat justitia ruat caelum --- 正義あらしめよ。たとえ世界滅ぶとも!町山さんがツイッターで褒めていたので観ることにした。
のっけからつかみはオッケーでしたねえ。バイクチェイスに目が釘付け。
アノニマスが明確に素材として取り入れられている。
Mがユニオンジャックの中央に描かれたいたずらは Sex Pistols へのオマージュであるとともに物語にダブルミーニングを持たせてもいるのだと思う。つまり、表向きのストーリーと、そこに込められた寓意。Mが誰に似てるかっていえば、もちろん外貌といい年齢といいエリザベス女王に決まってる。「テメエのしたこと思いだせ」は女王陛下の大英帝国が世界史において為してきたことへの告発に決まっている。
俺は車にも007シリーズにもまったく詳しくないけれど、あのクルマを見た瞬間思った。これ、きっとアストンマーチンっていうんだ。
風吹いて桶屋儲かりすぎ。犯人、ほぼ99%目的達しちゃうんだよねえ。町山さんが既に指摘してる通りだ。セブンというあの胸糞悪い話がかくもいまだに強い影響力を放ち続けているのはなぜなのだろう? 「絶対に倒せない敵」というのは、なにか、人の心のアーキタイプを揺すぶるものでもあるのだろうか。父や社会や現実や大衆や運命や死、そういうものの象徴なのだろうか。
でもよかった。結末までセブンにならなくて。
かつて世界の覇者、最大の植民地経営者であった大英帝国。その象徴たる女はイギリス国教会の祭壇の前で息を引き取った。007はその死を看取り、静かにそのまぶたを閉じる。彼は国の子であったのだから。
彼女がしきりに現場がどうの内勤がどうのって登場するの、伏線だったんだねえ。つまりミスマニペニ、前身は腕利きのスナイパーだったわけだ。ここに時間の円環が閉じる。事象の地平線、光円錐が閉じて歴史が終焉し、007がいま始まる。よみがえる。あのなじみの部屋で。叩き上げの軍人を新たなボスに迎えて。
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