[三周目&世の評論、解説を自分に解禁]
ブラックホールの解説を見て自分が15%くらいしか映画を理解してなかったことが判明した。つか、初めて映画をまともなレベルに理解できた。
お猿さんエピソード、完全にパラレルにつながってるじゃん。無関係じゃんと思ってた自分の不明を恥じた。
解説及び特典映像で得た知見も合わせて自分なりに時系列を整理するとこうなる。
1. 白昼。登山者に興奮するラッキーをなだめるOJ。ラッキーのテリトリーを侵犯しているのだ(未使用映像 HIKER。作品のキモを暗示している)。同日? デュープ、空飛ぶ円盤を夕空に目撃。
2. 牧場の朝は早い。黙々と働くOJ。ラジオから流れる「アグアドゥルセ郊外山岳遭難、二日前から消息を断つ」のアナウンス。
登山者が侵犯したテリトリーはラッキーのそれだけではなかったのだ。
3. その日? の昼、OJの父、高速で飛来した硬貨に右目と脳をやられる。死亡。
4. 半年が経過。OJ、撮影スタジオのスタント調教を失職。
5. OJその足で遊園地にラッキーを売りに行く(既に10頭売っている)。「金曜夕方五時半、パークの新作ショー、『星との遭遇体験』の初日よ」と園内にアナウンスが流れている。事務所では奥さんが電話でメディアに内覧会を通知している。
6. その夜。ゴーストに落ち着きがない。デュープパークで何事か行われ(これがおそらく内覧会だろう)、その上空にあったものがこっちに飛来してきた。UFOだ!
7. これで一攫千金だ。牧場を売らなくて済む! 妹エムとふたりヨドバシに監視カメラを買いに行く。
8. ヨドバシのあんちゃんエンジェル、据え付けに来る。据え付け角度の指示から「怪しい」と気づく。空の何かを撮ろうとしているんだ。
彼が女に振られた翌日であることも重要。エム含め全員、人生に行き詰まり救いを求めている状態なのだ(柳下さん指摘するところの、空に浮かぶなにかを待望する心理状況)。
エム、デュープパークから勝手に馬の立像を盗んで来る(盗むか普通? 手癖が悪すぎる)。デュープも登場、新作イヴェントに兄妹を招待。
9. その夜、UFO登場。白馬ゴーストは危険を察知して逃走、UFOはスターチュウを吸い上げる。ヨドバシ無許可遠隔視認。しかし肝心のカメラは円盤のEMP作用で動作してくれない。
10. エム、現場で会った巨匠ホルストに撮影を電話で依頼するも相手にされない。
11. OJ、転がっている「Star Lasso Experience 星との遭遇体験」チラシの絵を見て悟る。喰われたスターチュウと同じポーズ。「奴に食わせてたんだ。ラッキーが危ない!」。園に向かって走り出すOJ。
12. デュープパーク「星との遭遇」開幕(本番前に緊張してることも併せるとたぶんこれが初日。しかし、スタッフ含めどうしてこんな出来事を前にいままで平然とリハなどしていられたのだろう? また、内覧会にメディアが来ていたのならもうその時点で普通は大騒ぎでは?)
13. 前日に木製馬を飲み込んだ円盤はご機嫌斜め(口から旗が垂れている)。怒れる感情のままオーディエンスを丸呑み。
14. OJ到着。ラッキーは無事だったが奴はまだ上にいる! 襲いかかる円盤、気を失うOJ。
15. OJ目覚める。そんなに時間は経っていない。返す刀で奴はウチを襲う気だ! ラッキーをカーゴに収容し家に戻る。
16. 戻るともう攻撃は始まっていた。文字通りの血の雨。所持品の雨。家に近づけない。OJ気付く。「奴は動物。目を見るとやられる。見ないことだ」。狙われたまま車で一夜を過ごす。
17. 目覚めても奴はまだいる。三人、ヨドバシの車で脱出。
18. ヨドバシの家。マックで飯。OJ「奴は動物だ。撮れる。ラッキーの世話もしないと。俺は戻る」。ホルスト、遊園地被害のニュースを見てエムに電話。
19. 翌朝現場でホルスト合流。不可能を撮る。チーム爆誕。標的はジーンジャケットと命名。俺たちの映画に登場させる動物だから。やったるで!
20. 電動吹き流しと音楽をレーダー装置として準備。作戦開始! と思ったらマスメディア男登場。「へへ、とぼけたってダメダメ。特ダネは俺がいただきだぜ。何者にもなれないまま(nobody)ここで朽ちるがいい」(大手のくせに態度がすこぶる悪いことから考えるとこいつも問題抱え組、「喚ばれた」組の可能性が高い。その証拠にメットが単眼、奴とおんなじ)。突出して喰われる。
21. 邪魔は入ったが計画再開。見事手動アイマックスに所期の映像を収めることに成功! ところがホルスト、「マジックアワーだ」と山を登り出す。なにかが狂い始める。
22. ホルスト喰われる。その衝撃映像を撮りながら。ヨドバシも喰われかけたがブルーシートに助けられる。その際吸い込んだ有刺鉄線のせいかGジャンは内部構造を吐き出し第二形態に展開、巨大化。OJはエムを助けるためGジャンの注意を自身に。エムにアイコンタクト。
23. バイクの電源が復活、Gジャンの注意を引き付けつつエム高速で脱出。デュープパークに滑り込みデュープ坊やを解放、井戸写真機で奴をシュート。デュープ坊やを飲み込みジーンジャケットは爆発四散。「やった! 勝ったで! 誰も(nobody)うちらには勝てへんで! こんド阿呆! コンチクショウ!」
24. 騒ぎを聞きつけエントランスにメディアが大挙。
25. 「OUT YONDER この先へ」。霧が晴れゲートの内枠に浮かび上がる馬上のOJ。兄さんも無事だった! 泣き笑いのエム。暗転。勇壮な西部劇の劇伴。エンドロール(バックはスコーピオンキングスタッフパーカと同じオレンジ色。から血の赤へ)。
ラストについて監督は観客に解釈を委ねているので俺はハッピーエンドに取らせていただく。ホルストは喰われたとはいえその携帯手動カメラのロールは喰われずに地面に転がってきた(何かに喰われること、それをフィルムに収めること、は彼の望んだ最期に見える)。IMAXのカートリッジも生き延びたと思いたい。兄妹は互いを助けようとGジャンの注意を引き合ったしその作戦は成功した。エムは目立ちたがりのエゴイストから卒業したのだ(子供の頃もらい損ねた馬と同じ名前のあいつ、その調教に成功した、ということ)。ヨドバシもなんとか無事。ホルストの気まぐれと犠牲は映像をとらえるにとどまらず人類の敵、父の仇(かたき)Gジャンをやっつけるところにまで事態を展開させた。招かれざる客ではあったがTMZ記者も功労者だ。バイクを持ってきてくれたから。そういう穏当なラストであったと俺は思いたい。
OJだけでなくデュープも早い段階で「あれは生き物だ」と気付いたのだろう(毎週金曜日18時の出現にはなにか意味があるのか?)。だから餌付けをした。飼い馴らした。飼い馴らせると思った。これはゴーディーの再来であり、今度はうまくやれる、理解し合える、自分は生き直せる、そう思った。
では、靴は? 「あのとき解離性障害のスイッチが入ったのだ」というのが監督の弁。わかるようなわからないような。立った靴の意味。依然俺にはわからない。
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