うん、よかった。
作品は冒頭で自らハードルを設定している。当然クリアする自信があるからこその行為で、さすがウォシャウスキー姉弟、「時間軸混在の物語は絶対失敗する」の定石を見事打ち破ることに成功した。
ペドゥナが白人に、ハルベリーがユダヤ人に見事に化けることは特殊メイク技術の誇示にとどまらず当然作品の根幹主張に関わる演出だ。つまりそんなものは人間の外被、スキンの問題でしかないと。
多世界の階級闘争は時に勝利しまた時に敗れる。しかしネオソウルで敗れた革命軍の姿に未来世紀ブラジル、ブレードランナーの無力感、シニシズムはない。個々の勝敗は問題ではない。問題は勝敗という結果ではない。我らの闘いは彼らが引き継ぎ、彼らの闘いは君らが受け継ぐ。原作者も監督チームも絶対読んでいないに違いないが、これは紛れもなく21世紀の忍者武芸帳だ。
同じ問題に悩み考えを突きつめた者は、期せずして同じ地点に到達するのであろう。
我らは遠くから来た。
そして、遠くまで行くのだ。
コメント
コメントを投稿