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グリーンデスティニー



割と早い段階から話がわからなくなった。覆面盗賊はあの娘なんだろうけど、遠くの町に嫁いで行ったんだろうになんで元の街にパパッと出現できるのか。遠くの街に嫁いだはずなのになぜいきなり元の町で盛大に見せびらかし祭りをやってるのか。時間軸、空間の因果律がよくわからない。俺が話を把握できてないだけなのか。

荒野のラブロマンス、まるで興味が持てず。高崎の族に拉致られて無理矢理手篭めにされたら女も男を好きになったて。族のイロ(情婦)になりましたて。そういうもんですか。姦ったもん勝ちですか。こういうのラブロマンスて言いますか。
ただでさえ長きに過ぎる話なのでこの件り全カットでよかったんじゃないでしょうか。必須のエピソードとも思えないし。このどうでもいい話で20分位も使ってる。
「俺の女になれえええ」「駄目だ。両親のもとに帰るんだ」「シャオロンは俺の女だああああ」。両親含め周囲の人々がこのバカップルに対してとりあえず思うのは「結論どっちでもいいからさ。自分が何したいのか、とりあえずはっきり決めてくんない?」ってことじゃないだろうか。
「お姉さん? 妹なんかいらねえよバーカバーカ!」。言いたくなる気持ちわかるわー。

んでもってなんなんですかあのラストは。心の赴くままにーイ? サークルクラッシャー万歳っていうお話なんですか。そーゆーお嬢さんのわがままでみんな迷惑した話なのに、それじゃあのひとかわいそうだ、死に損だ。
わたしは自由よー、とか言ってどっか行っちゃうんならさ、最初から武当山行くなよ。男ととりあえずなに、セックスとかはしときたかったのか。
わたしは自由よー!っつって生きて行くって事はさ、この女の末路結局乞食師匠とおんなじことなるの目に見えてんじゃん。あっちふらふらこっちふらふら、毎晩汚い乞食小屋に寝泊まりして。
そんな生活の、そんな自由のなにがいいんだ?
毎晩意味もなくネットカフェ泊り歩いてるメンヘラ女みたいだ。

(追記:最後の飛翔を俺は「自由への旅立ち」と見たのだけど、「贖罪の投身自殺」と見る見方もあるようだ。確かにそれならつじつまが合うし、俺も「あたりまえだ、お前死んで当然」と納得がいく。しかしそうすると男がそれを平然と、わりとボケーッと無為に眺めているのが不自然な気もする。)

妖刀グリーンデスティニー、よう何度も盗まれるんだからさあ、とりあえず鍵くらいかけとこうよ。なんか箱かなんかちゃんとしまってさ。貴重品の管理悪過ぎ。

役柄のせいもあるけど、俺は小娘のほうには全然興味持てなかったね。ミシェルなんとかさんの中年の色香のほうにグッときました。チャンツイーの名はよく目にするけど、ちょっと俺には魅力がわかりませんでした。結構な大根に見えた。
ゴーンウィズザウィンドといいカテジナさんといい逆シャアのバカ女といい、「わがままバカ女のせいでみんな迷惑してます」というテーマの作品がそれなりに散見されるのは、みんなやはり現実にそういうことで悩むこと多いからなのだろうか。人間生活においてどうやら重大な問題として万人に認識されているからなのだろうか。

ユアンウーピンのワイヤー、カンフーアクションは文句なしに素晴らしかった。「あのふわふわは変」「放物線描いてない、物理法則に合わない」等の評言に対しては「そこがいいんじゃなーい!」と作品側を全面擁護したい。あれは修行の末の一種の超能力、飛翔力と見るべきで、あの非現実感はわたしたちが夜に見る夢の飛翔感そのものである。このふわふわの夢幻感がアカデミー賞受賞につながったのはまちがいない。
これにいい脚本が、ストーリーさえつけば大傑作になるのに、という思いはメイトリクスという作品に既に結実していて、ウォシャウスキー兄弟ほんとに天才でありますグッジョブであります。

追記:監督がブロークバックのひとだということを考え合わせると、いろいろの不自然を氷解するひとつの合理解が出る。
彼女はおとこのこ(男の娘)なのだ。



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