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「カメラを止めるな!」



 金曜ロードショーを録画して観た。
 なるほど、秘宝で評価高いのも納得。
 これはあれだね、スケールの小さい話だね。
 そこがいい。
 戦争でも天変地異でも、世界を救う話でもない。そこがいい。

 神経症やアル中、頼まれてない熱演に励む大根役者。やる気だけ空回りする映画監督の卵。ひとりひとりはダメ人間であるのに、それが映画製作に協業した時起こる奇跡。
 いや、出来た代物は大したものじゃない。最初の37分で俺たちが目にした通り。粗が多く整合性を欠き当然感動も何もない。
 だが、映画はこの37分経過後から始まるのだ。

 娘のピュアな情熱がサラリーマン化した駄目父さんを動かした。そういう解釈を取り感動したひとも多いのかもしれない。
 俺は逆なんだと思う。
 キャップをポン! と跳ね上げられておばちゃん呼ばわりされたおばちゃん以下、「速い、安い、質はそこそこ」の仕事を黙々とこなしてきた「チーム日暮」の底力があったからこそ、この奇跡は生まれたのだ。彼女があの写真を父親に渡す時、依然その事に気づいていないとしたら、娘は何一つ成長していない。そこには単なる増上慢心しかない。
 傍証はある。金曜ロードショー放送時の生副音声で上田監督ははっきり証言している。「妥協できるカッコよさ」と。ヴァラエティーの再現Vで飯を食ってきた職人日暮隆之に監督が体現させたものはそのプロ根性なのだ。
 この解説副音声上映、いいよね。午後ローなんかも映画秘宝とコラボして気鋭のライターに好き勝手しゃべらせる解説上映なんか是非やって欲しいなあ(原語トラックつぶしちゃうことになるけど。でもまあ原語で観るひとなんてたぶん一割にも満たんでしょ)。
 そしたら放送、毎回が永久保存版にもなるし。

 なんか日大芸術学部映画学科の傑作「チャリン」を思い出したね。肌合いが凄く似ている。
 いや、むしろ映画学科(及び学生映画サークル)が一般に背伸びして作りたがるのは彼女が着てたTシャツの面々(キューブリック、ゴダール、タランティーノ)なんだけど、チャリンは逆に等身大の大学生、ありふれた親子関係に立脚した、ものすごく足が地に着いたベタなドラマでそれが良かったんだよね。それとものすごくテーマ、作風が似ている。

 廃工場、鉄柵の間隔が広過ぎ(柵としての機能が弱い)で、それが見てて冷や冷やした。転落事故が起こらなくて本当に良かった。

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