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ETV特集「ロシア革命 100年後の真実」

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259601/index.html







「ロシア革命では内戦を含めて一千万人から一千二百万人が犠牲になりました。
 私は、革命は起きてはならないと思います。それがロマンチックなイメージで語られる革命であってもです。
 政権に就くものには、常に社会の爆発を予見する賢さが必要です。つまり自ら改革、変化する力です。
 そうしないと爆発を招き、多くの犠牲が生まれることになります」

 革命などいらないと歴史学者ゲンナジーボルジュゴフは言い切る。その言に「では、ブルジョア議会主義を肯定するのか!」と反駁することはできる。しかしその抗議は弱々しい小声にならざるを得ないだろう。農民に毒ガスを使用してしまった時点でもうレーニンには支配の正当性が一切ない。その理論も口舌もすべてが無効になってしまった。
 ツァーリの暴虐から解放すると言っていたその対象を解放するどころか、食料消費地の都市労働者が要求するままに食料を徴発し、あげく抵抗、蜂起にまで追い込まれた農民を薬で扼殺した。
 それは革命自身、革命家レーニン自身の扼殺でもあったはずだ。
 ある意味、それゆえの心労であり発病、病没だったのではないか。

「商業。これこそ我々プロレタリア国家権力が全力を挙げてつかまなければならないものである」
 なに言ってやがんだレーニン、何をいまさら、である。しかしこの節操の無さ、自身の掲げてきた原則、理論など平気でかなぐり捨てて状況に即応する現実主義がレーニンの強み、強さ、権力掌握に成功した理由でもあるだろう。
 でもしかしやはり、と思う。議員秘書になり議員んちの雑巾がけから始めるレーニン、埴谷雄高を想像できるか? そんなこと絶対ありえない。
 しかし、それができる人間、田中角栄、小沢一郎のように、泥臭い、ドブ板選挙を戦える人間でなければ、やはり政治に参与してはいけないのではないか。
 どぶ板の握手は集票のための欲得づくに決まっている。しかしその、集票のための握手、そういう欲得づくが、存外権力者が住民虐殺の挙に及ぶことに対する具体的な歯止めだったりするのではないか。
 労働者大衆を心から愛しその解放を心底願い闘ったレーニン。自分がエラくなるための手段として大衆を利用する凡百のブルジョア政治家。彼我の理念とその結果に、なぜ真逆の結果が生ずるのか。
 過剰な愛がある瞬間際限のない憎悪に変わる。ロシア革命は階級闘争であると同時に古典、ロウマンティクな愛憎劇だったのではないか。

 卓抜した理論家、知的エリートの領導する革命の陥穽。731の祖ともいうべき蛮行が共産主義革命史の最も輝かしい時期に刻まれていた、その意味を徹底的に総括できなければ、国際共産主義運動はその理念もろとも決して蘇生することができない。蘇生することが許されない。

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