2007年放送NHKスペシャルの書籍化。VHSに録ったオンエアは繰り返し見た。
番組のただ一つ残念だった点は、映画ビューティフルマインドのサントラをまんま番組サントラとして使用してしまったこと。
このドキュメンタリーは、同じ数学の天才を題材にした映画の威光など借りなくても立派にそれ自体自立した価値を持つ出来栄えだった。格別の予算など割かなくていいから、オリジナルの音楽を当ててほしかった。製作者がいまひとつ出来栄えを世に問うにあたり自信を持てなかった、そんな感じがしてならない。もったいないことである。
ポアンカレ予想の意味するもの、その面白さと、その世紀の難問を解いてしまった人物の面白さ。
いや、面白さ、は不謹慎だった。ペレリマンは偉業の代償に心を閉ざしてしまったのだから。
いったい何があったのか。すべては彼が語らないので謎のままだ。
だが末尾、ひとつの希望が語られる。彼はいままた何事かに取り組んでいるというのだ。
数学のみならず物理にも明るい(そのことがポアンカレ予想の証明にもつながった)彼だ。その彼がある日、大統一理論を完成する論文をまたひとつのファンファーレもなしにそっとインターネットにアップしたとしても、わたしたちは驚きつつまたきっと驚かないだろう。彼ならさもありなんと。
重力の謎も宇宙の誕生も、ペレリマンが一挙に解き明かしてくれる日を俺は心待ちにしている。
コメント
コメントを投稿