アウトロー、タイトロープ、白い肌の異常な夜と、イーストウッドの「割とどうでもいい映画」を続けて観てきたのでこれは観応えがあった。
イーストウッド御大後期重鎮映画、に分類されるあれだろう。
女ったらし設定必要なの? 詰め込み過ぎじゃないの? と思ったらそれがちゃんと活きてた。最後に決定的な役割を果たした。
編集長も売らんかなのクソ野郎、と見せかけておいて実はガッツのあるタフガイ。むしろ情熱の塊のような人物。その彼との無駄話をあえて交えた丁々発止の長回しは圧巻。
クライマックスの死刑描写も息詰まる。公開の原則を体現した、という体裁だが、これはもう紛れもなく殺人ショー、ひとが死ぬところを見たいという大衆の下卑た欲望に阿った野蛮の風であることを映像が雄弁に語る。
そして中止命令が出た途端の刑務所長以下職員の鬼神の如き動き。これがこの作品の白眉だ。終始冷淡、無感情、事務的、酷薄に見えた職員たちが、彼を救うために猛然と動き出す。それが鉄面皮の下に隠してきた彼らの本心だったのだ。
野沢那智、江原正士も好演。
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