今朝も涼しい。上着ないと寒いくらい。
なでしこ銀。消費増税法案参院可決。イ・ミョンバク竹島上陸。ボルト200メートル金。
きのうはなんとなく時間が空いたのでなにげに現代美術館に行ってみた。
夏休みだというのに意外に子供は少なかった。来ている少数の子供もそう楽しんでいるようには見えない。内容が内容だから、オタク父に無理無理連れられてのパターンかもしれない。オタクデートに彼女が退屈、の親子版。
高齢者が目につく。現役でゴジラ、ウルトラマンを見ていた世代。そうだ。オタクならずとも、昭和を懐古するよすがに「特撮」は外せないのだ。
メインイヴェント「巨神兵東京に現る」。俺は言いそうになっちゃったよ。「ごめん、いま映画見てるんであとにしてくれないかな」。畏れ多くも畏くも綾波に言いたくなっちゃったよ。「黙れよ」と。あれは失敗だな。弟がどうのこうの。しかもその設定がまたややこしく「現実の弟は別にいる」のだから映像見てる最中に脳が混乱して邪魔臭いことこの上ない。「なに無言電話死ねよ」。続けて言われてもなに言ってんだかわかんねーよ死ねよ。あのナレーションかぶせ、別ドラマ進行形式は成功していなかったと思うよ。
でも仕方ないんだ。あれ本篇のみなら完璧ポルノフィルム(大衆の下卑た欲求におもねった見世物)だから。イクスキューズとしてああいう言い訳、「破壊のあとの明日への希望」じみたつまんないことは抱合せ販売しなければならないから。
まあでも結局、大変なポルノになっちゃってんだけど。
特撮の出来にいろいろ不満はあるけど、それでも上映後「いやーな後味の悪さ」が会場に漂い拍手のひとつもおきないだけのインパクトはあった。かなりのリアリティーで東京、地球、太陽系の終末を映像で見せてくれたからだ。そんなもの見せられて「あー面白かった」と充実感で外に出られるわけがない。しかもアフター311で。
つまり作品としては成功したわけだ。ゴジラ以来日本の特撮が目指してきた「徹底した破壊を描ききる」という庵野、樋口の意図は。
この救いのないフィルムが「スタジオジブリ作品」なのだからもうブラックジョークにも程がある。
マスデストラクションシーンのカタルシスがなくただひたすら陰惨な印象を与えるのはなぜか、考えてみる。猟奇殺人犯の犯行ビデオに近いのだな、印象が。切り裂かれる東京。その傷口から奔出する血しぶき。紅蓮の炎。淫楽殺人者、連続放火魔の究極の夢。
「破」でもリメイクされた、使徒に乗っ取られた参号機を無茶苦茶するあの感じ。そうだ。「まごころを君に」では壮絶なスプラッタ、射殺、まんま犯罪の首絞め描写もあった。庵野秀明にはこらえきれない、抑えられない殺戮衝動でもあるのだろうか? まあこうして創作という形で穏当に処理できているわけだから、芸術って奴は偉大である。
やはり「動機」が必要なのだと思う。和民に呼び出して「おまえなんでいきなり。東京の人ら、ほんと怒ってたぞ」と巨神兵にネチネチ説教し、荒れた理由を問い正したくなるのである。
我慢に我慢を重ねた健さんが最後に長ドス提げて殴り込み、なら観客も「異議なし!」であろう。プロトンビームに快哉も叫ぼう。
初期絵コンテでは巨神兵開発シーンなども描かれていたから、そこらへんの説明、「なぜ東京を焼き尽くすか」の理由もあったのだろう。
まあ上映時間、予算との兼ね合いもあろうから、難しいところである。ドラマ、説明長くなったらそれはそれでつまらなくなるし。理由は各自が「補完」すればいいのかもしれない。
「仕入れの金持ちだして住之江通いて、そらあかんがな。ビームでもなんでもつこたらええがな。バシバシしばき倒したらなあかんがな」。
フィルム、がっかりなところ。
1 巨神兵の動き。畢竟原理は「操り人形」だから、操り人形固有のあのカクカクした動きが如実に出てしまった。後ろのブルーマンの動きを忠実に模倣する機構とはいえ、巨神兵の方は内実を、血肉を、筋肉を持たぬ比較的軽量の材質であるからどうしても慣性が低く、伝播の振動が如実に出てしまう。
撮影時は高速撮影で演技も俊敏に動いてもらい、ポスプロ時はスロー再生にすれば以上の弱点をカバーできたのではないかとシロウトながら想像する。いかにも軽い作り物感満載の振動が、巨大生物の重厚な律動へ吸収できるのではないか、と。
特撮のマエストロたちがどうしてこの初歩的な工夫をしなかったかが訝しい。
2 綾波モノローグ。うるさい。全カットでいい。
フィルム、よかったところ。
1 空間に漲る悪意。破滅の予兆、の表現。なんとCGではなく発砲スチロール粉の風まかせ乱舞そのまま撮影だったとは! 特撮とんちの面目躍如。
2 ワタのきのこ雲、完全成功。 特撮とんちの面目躍如。
3 火の7日間、の新解釈。日も月もやられちゃうんだ。文字だけの説明とはいえ、背筋が凍った。気持ちがほんとに暗くなった。
東京どころじゃないじゃん。逃げ場ないじゃん。もうだめじゃん。
むかーし、ナウシカのVHSビデオリリースの際映像特典として「火の7日間」が付与された、というのが記憶にあるのだが、ググってもどうもそういう史実に行き当たらない。俺の妄想なのだろうか。なにか時空間の歪みに巻き込まれて、今回の映像化が過去に遡及してニセ記憶を作ってしまったのか? などとおかしなことを考える。
なでしこ銀。消費増税法案参院可決。イ・ミョンバク竹島上陸。ボルト200メートル金。
きのうはなんとなく時間が空いたのでなにげに現代美術館に行ってみた。
夏休みだというのに意外に子供は少なかった。来ている少数の子供もそう楽しんでいるようには見えない。内容が内容だから、オタク父に無理無理連れられてのパターンかもしれない。オタクデートに彼女が退屈、の親子版。
高齢者が目につく。現役でゴジラ、ウルトラマンを見ていた世代。そうだ。オタクならずとも、昭和を懐古するよすがに「特撮」は外せないのだ。
メインイヴェント「巨神兵東京に現る」。俺は言いそうになっちゃったよ。「ごめん、いま映画見てるんであとにしてくれないかな」。畏れ多くも畏くも綾波に言いたくなっちゃったよ。「黙れよ」と。あれは失敗だな。弟がどうのこうの。しかもその設定がまたややこしく「現実の弟は別にいる」のだから映像見てる最中に脳が混乱して邪魔臭いことこの上ない。「なに無言電話死ねよ」。続けて言われてもなに言ってんだかわかんねーよ死ねよ。あのナレーションかぶせ、別ドラマ進行形式は成功していなかったと思うよ。
でも仕方ないんだ。あれ本篇のみなら完璧ポルノフィルム(大衆の下卑た欲求におもねった見世物)だから。イクスキューズとしてああいう言い訳、「破壊のあとの明日への希望」じみたつまんないことは抱合せ販売しなければならないから。
まあでも結局、大変なポルノになっちゃってんだけど。
特撮の出来にいろいろ不満はあるけど、それでも上映後「いやーな後味の悪さ」が会場に漂い拍手のひとつもおきないだけのインパクトはあった。かなりのリアリティーで東京、地球、太陽系の終末を映像で見せてくれたからだ。そんなもの見せられて「あー面白かった」と充実感で外に出られるわけがない。しかもアフター311で。
つまり作品としては成功したわけだ。ゴジラ以来日本の特撮が目指してきた「徹底した破壊を描ききる」という庵野、樋口の意図は。
この救いのないフィルムが「スタジオジブリ作品」なのだからもうブラックジョークにも程がある。
マスデストラクションシーンのカタルシスがなくただひたすら陰惨な印象を与えるのはなぜか、考えてみる。猟奇殺人犯の犯行ビデオに近いのだな、印象が。切り裂かれる東京。その傷口から奔出する血しぶき。紅蓮の炎。淫楽殺人者、連続放火魔の究極の夢。
「破」でもリメイクされた、使徒に乗っ取られた参号機を無茶苦茶するあの感じ。そうだ。「まごころを君に」では壮絶なスプラッタ、射殺、まんま犯罪の首絞め描写もあった。庵野秀明にはこらえきれない、抑えられない殺戮衝動でもあるのだろうか? まあこうして創作という形で穏当に処理できているわけだから、芸術って奴は偉大である。
やはり「動機」が必要なのだと思う。和民に呼び出して「おまえなんでいきなり。東京の人ら、ほんと怒ってたぞ」と巨神兵にネチネチ説教し、荒れた理由を問い正したくなるのである。
我慢に我慢を重ねた健さんが最後に長ドス提げて殴り込み、なら観客も「異議なし!」であろう。プロトンビームに快哉も叫ぼう。
初期絵コンテでは巨神兵開発シーンなども描かれていたから、そこらへんの説明、「なぜ東京を焼き尽くすか」の理由もあったのだろう。
まあ上映時間、予算との兼ね合いもあろうから、難しいところである。ドラマ、説明長くなったらそれはそれでつまらなくなるし。理由は各自が「補完」すればいいのかもしれない。
「仕入れの金持ちだして住之江通いて、そらあかんがな。ビームでもなんでもつこたらええがな。バシバシしばき倒したらなあかんがな」。
フィルム、がっかりなところ。
1 巨神兵の動き。畢竟原理は「操り人形」だから、操り人形固有のあのカクカクした動きが如実に出てしまった。後ろのブルーマンの動きを忠実に模倣する機構とはいえ、巨神兵の方は内実を、血肉を、筋肉を持たぬ比較的軽量の材質であるからどうしても慣性が低く、伝播の振動が如実に出てしまう。
撮影時は高速撮影で演技も俊敏に動いてもらい、ポスプロ時はスロー再生にすれば以上の弱点をカバーできたのではないかとシロウトながら想像する。いかにも軽い作り物感満載の振動が、巨大生物の重厚な律動へ吸収できるのではないか、と。
特撮のマエストロたちがどうしてこの初歩的な工夫をしなかったかが訝しい。
2 綾波モノローグ。うるさい。全カットでいい。
フィルム、よかったところ。
1 空間に漲る悪意。破滅の予兆、の表現。なんとCGではなく発砲スチロール粉の風まかせ乱舞そのまま撮影だったとは! 特撮とんちの面目躍如。
2 ワタのきのこ雲、完全成功。 特撮とんちの面目躍如。
3 火の7日間、の新解釈。日も月もやられちゃうんだ。文字だけの説明とはいえ、背筋が凍った。気持ちがほんとに暗くなった。
東京どころじゃないじゃん。逃げ場ないじゃん。もうだめじゃん。
むかーし、ナウシカのVHSビデオリリースの際映像特典として「火の7日間」が付与された、というのが記憶にあるのだが、ググってもどうもそういう史実に行き当たらない。俺の妄想なのだろうか。なにか時空間の歪みに巻き込まれて、今回の映像化が過去に遡及してニセ記憶を作ってしまったのか? などとおかしなことを考える。
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