面白かった。以下ネタバレです。
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よくできた脚本だな、と思って最後まで観たらどうも実話らしい。
心臓が最初から最後までバクバクしっぱなしだった。まったく、政治以上のホラーがこの世にあるであろうか。苛政は虎よりもなんとか。
金と贅沢にしか興味のない無教養丸出しのガハハオヤジ。ダーティーワークに手を染める酷薄非情な権力の犬、民衆の敵。映画プロデューサーとCIAをそのようなステレオタイプで描くことは思考停止なんですよ、ということを強力に納得させてくれる映画だった。
革命、民衆蜂起にアプリオリな善を期待する立場も。
革命、民衆蜂起にアプリオリな善を期待する立場も。
「タコス食うか?」のシーン、上手いよね。あれひとつで野放図な浪費家でもなんでもない、大金稼いでいても自己抑制、自己管理のできる有能な人物であると伝わってくる。
作戦成功! しかしそれを誰にも自慢できない。そこにまたしかし彼ら日陰者の屈折した栄光がまぎれもなくある。誰にもわかってもらえなくても俺ァやるんだよ、という男の気概。アメリカ人にも高倉健スピリッツはあった。
イスラム団体から抗議を受けないように、という配慮も十全にめぐらされていたかもしれないが、それは脚本の魅力を損なってはいない。むしろ脚本の陰影を深める方向に役立っている。誰が悪いと簡単に指弾できるものでないことはまぎれもなく現実の反映だからだ。全員が監視者、屠殺者と化した状況は異常だが、その原因がそもそもはどこにあったか、誰がもたらしたものか。
それは石油権益のためだった。米英の権益確保のためだったろうに、長い目で見てけしてそうはなっていない。開明進歩派の政治家に民主化、近代化をまかせておけば当たり前にビジネスできる相手となっただろうに、目先の欲にくらんで奸計を弄したあげく逆に対話不能の反米国家を育て上げてしまった。フランケンシュタインを地で行くような近現代史である。
土着民衆の封建的感情に媚びて親米傀儡政権をつくる。そういう手法の破綻が目に見える映画でした。
5月27日追記:秘宝2月号見ていまごろ気付きました。俺、ずっと「トムクルーズ主演なのに抑えた使い方、凄いな」とか思ってた。
5月27日追記:秘宝2月号見ていまごろ気付きました。俺、ずっと「トムクルーズ主演なのに抑えた使い方、凄いな」とか思ってた。
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