ユニクロ中野店の面接に行ったのはもう十年以上前のことになる。
4階のバックヤード、その店長室の壁にはなにか「死ぬ気で頑張れ」的なスローガンが書かれてあって、俺はそれを見てもうなんだか嫌になってしまったのだった。なんて書いてあったんだっけ。メモにでも、日記にでもつけておけばよかった。
中野店の女性店長はさすが見る目があるのだろう、俺に「どうもさっきから、あなたには覇気というものがまったく感じられない」と喝破したのだった。それは当たっていたのである。やる気もなにもありゃあしない。ただ生きんがための応募である。一介の失業者が店員募集の店頭告知を見て、人手が欲しいのなら雇ってもらえるかもしれないとふらりと訪ねただけなのだから。
その時の俺は経済的にも急迫していたから是が非でも雇ってもらうべき状態にあったのだが、バックヤードのそのありがちな張り紙と店長の何やらカリカリとテンパッてる、初対面の応募者に対してなぜやる気を見せないかと詰問するような調子に、すっかり反抗的なモードに突入してしまったのだった。なんでお前そんなに横柄なんだよ。なにカリカリきてんだよ。気に入らねえなら雇わなきゃいいじゃん。人手が欲しいって書いてあっから来てやったんだぜ。そんな態度にこっちも開き直ってしまったのだった。急迫の度合いが過ぎて失業者やけっぱちになる、の図である。
まあ当然不採用であります。
いま思えば、店長は店長でテンパるべくしてテンパッていたのだろう。こんな記事
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